福井大学病院では、2009年より、パートナーシップ・ナーシング・システムをスタートさせ、OJTの強化、オカレンス(インシデント)の減少、超過勤務の減少などの効果を上げているということで、実際にどのようなものなのか見学してきました。
実際に病棟に入って見学する前には、新人教育の方法論なのかと思っていましたが、これはスタッフ全員がペアを組むという病棟マネジメントの新しいかたちでした。
このシステムは、一部署の病棟師長が始めたことであり、導入時は、先輩看護師が、納得のいかない負担感を感じたり、新人は受け身になったり、若手看護師は、自分流ができなくなって、ついていけない戸惑いが生じるなど、決して 順風満帆というわけではなかったようです。
しかし、2年を経過した現在は、成果が見えてきており、立場や経験の異なる人が、それぞれの持ち味を生かして協力し、すべての業務を補完しあうという体制ができていました。
できるだけ、自分とは違う面を持っている人をパートナーにして「違いを活かす」ことがポイントだというので、逆転のユニークな発想ともいえます。
当院とは、勤務体制やマンパワーなど様々な条件が異なるので、パートナーシップの持ち味が生かされるとは限りませんし、万能なシステムではないので、様々な業務補完の工夫や社会的基盤となるコミュニケーション教育は必要です。
福井大学病院看護部長さんは、「どうしても、変革ができないという頭の固い人に見学にきてもらえばいい。」と これまで抵抗勢力を納得させてきた自信をのぞかせていました。
成功要件がそろえば、看護師が幸せになるシステムだとも言い切っていましたので、新人教育に限らず、看護師業務の調整にまつわる様々な課題に対して、解決策のヒントになるかもしれません。